定盤の基礎知識
2023.12.19
定盤を選定する理由としては、基準平面上での測定や試験・組立作業を行いたい等の理由があるかと思いますが、その基準平面となる定盤平面度に対して指標となるJIS規格には平面度等級が存在することをご存知でしょうか?今回のコラムでは、その平面度について少し触れてみたいと思います。
このコラムが皆様のお役に立てたら幸いです。
定盤上で検査や実験などを行う場合の定盤の「平面度」は、測定した数値の信頼性に影響されます。また、平面度の許容範囲はJIS規格(JIS B 7513)により0級、1級、2級の3等級に区分されています。
0級クラスの定盤は、工作機械の仕上加工品の検査を行う際の基準面となる精度で、一般的な機械装置の加工/組立/検査/実験などを行う場合は2級クラスで十分と言われています。
ここがPOINT❕❕
対角線の長さは、最も近い上の100mm丸めた値とします。
0級は0.5μm、1級及び2級については1μmに近い方の値に丸めます。
例題:幅3000×長さ5000㎜サイズの定盤でJIS2級相当の平面度の許容差を求める
場合。
先ずは対角線の値を求めます。
ℓ=√(3000)2+(5000)2
=5830.95189‥‥
5900 ※最も近い上の100㎜に丸めます
従いまして、下記の計算式により平面度を計算します。
t=(0.012×5900)+10 ※JIS2級相当の場合 C1=0.012、C2=10
=80.8
81µm ※JIS2級相当の計算値は1μmに近い方の値に丸めます。
定盤上面の平面度は下写真の高精度デジタル水準器を用いて、測定を実施します。
~ここがPOINT❕❕~
高精度デジタル水準器は当社規定により、厳格な管理を行っております。当社で定盤平面度を測定した場合、自主検査表または完成図書内に、測定に使用した高精度デジタル水準器のトレーサブル書類の写しを添付させて頂きます。
規定の測定ポイントにて計測した平面度数値を専用の計算ソフトを用いて計算を実施。実際に出た平面度数値と共に、測定値をグラフ化した分布図も提出させて頂きます。
鋳物定盤カスタムナビを運営する大和重工株式会社には、定盤の製作実績が多数ございます。
当社では、最大長さ15mの定盤など、大型で高精度な定盤の製作実績が豊富にあります。お客様のニーズに合わせて、最適な材質、構造、加工方法を提案することができます。数mクラスの大型定盤になると対応可能なメーカーも少なくなるため、全国各地から当社に大型定盤についてお問い合わせをいただいております。また、工場新設段階からの図面協力など、トータルサポート体制も強みです。
大和重工の大型定盤は、自動車メーカーや自動車部品メーカー、建設機械・農業機械メーカー、各種研究機関など、幅広い業界に導入されています。
大和重工では、高精度な平面度を実現する定盤設計に力を入れています。定盤の平面度は、組立精度や測定精度に直接影響を与えるため、非常に重要な要素です。当社では長年の経験とノウハウに基づき、お客様のニーズに合わせて最適かつ理想的な平面を確保できるよう、定盤の材質、構造、寸法などを厳密に設計しています。
また、実際に大型定盤を設置する際に、たとえどれほど定盤自体が平面度が高かったとしても、設置精度が悪ければ平面度を保証することはできません。そのため、高精度水準器等を用いて設置時に理想平面が出ているかどうかを確認する必要があります。
>>大型機械・装置のレベル出し・水平調整を実現する“理想平面”へのこだわり
>>解析技術を駆使して剛性・荷重を最適化する定盤設計ノウハウ
>>高精度水準器とは?高精度デジタル水準器の仕組みとポイントを解説!
大和重工は、作業現場やお客様のニーズに応じて大型定盤をカスタマイズします。例えば、T溝加工、Tスロナット挿入口、レベル調整機構など、様々なオプションに対応しています。もちろん納期やコスト面についても、顧客の要望に合わせて柔軟に対応しています。
また工場レイアウトに応じて、L型、T型、H型などの複雑な設置構成にも対応できる柔軟な設計が可能です。作業効率や検査精度を最大限に引き出すために、定盤も柔軟な設計調整をいたします。
>>大型定盤の設計・鋳造・加工・据付まで”ワンストップ対応”
>>3m×8mまで一体型での製作が可能、または防振機能が付いた特注定盤の製造
大和重工の定盤「Daiwa定盤」には、上記写真のようにCAEを使用した構造解析を実施しております。定盤の耐荷重は、剛性と支持点の数によって決まります。積載する機械や装置の最大荷重に基づき、変形が許容値以下となるように設計いたします。必要に応じて、CAEによる構造解析を行い、変形状態を詳細にシミュレーションすることも可能です。
定盤平面度の精度は、機械加工を行った時点と据え付け後では異なります。
「Daiwa定盤」は、据え付け後で平面度の保証を行えるように、事前打合せを十分に行い、搬入方法、基礎への固定方法、レベル調整方法などを決めさせて頂き、据付作業も責任を持って請け負います。
大手メーカーの方々が工場を新設される際には、必ずゼネコンの方々も関係します。そしてゼネコンの方々が建屋の詳細設計をされる際に、定盤の基礎図が必須となってきます。しかしその段階で定盤メーカーが図面に協力するためには、工場への定盤の搬入ルートや基礎工事の方法等を考慮した上で設計する必要があり、積算金額の算出ができず対応可能な定盤メーカーが少ないのが実情です。
一方で当サイトを運営する大和重工では、図面協力段階からの定盤設計にも対応しております。これまでに数多くの大型定盤の据付工程まで対応した実績・現場経験ががあるため、搬入ルートの検討や施工要領を含めた図面協力をすることができます。建屋ができる前にCAD設計まで行い、ゼネコンの方々が工場新設時に積算する際にも、積極的な協力をさせていただいております。
そのため当社は、エンドユーザーの皆さまだけではなく、大手ゼネコンの皆さまからも定盤メーカーとして選ばれ続けております。定盤にそこまでこだわりがない場合は、エンドユーザーの皆さまはゼネコンの方々に定盤の見積りを出されます。その際にゼネコンの方々が定盤製造を依頼する先として、予算や積算の考え方を理解しており、図面協力することができる大和重工が選ばれております。
ゼネコンの皆さまと同じ目線・共通言語で定盤設計・据付についてお打ち合わせができる証として、当社では下記のような認定資格を保有しております。
多くの定盤メーカーは、設計・製造・据付までの対応となり、設置後のアフターフォローはサービスに含まれていないことがほとんどです。しかし大型定盤においては、設置後の理想平面の維持が最も重要です。
定盤を使い続けると、どうしても平面度も設置した当初の平面度から変化をしてしまいます。そのため、設置した後にメンテナンスできるように、平面度を調整することができる機構があるかどうかというのは、定盤を長く使い続けていくうえで重要な要素の1つと言えます。
当サイトを運営する大和重工では、ジャッキ機構のような、設置後に理想平面を維持できる機構を採用することで、メンテナンス性も良い定盤の設計提案をしております。
そして当社では、他社ではあまり行われていない定盤の校正・メンテナンスもサービスとして含めてご提案しております。このアフターフォロー体制が、当社が数多くのお客様から選ばれている理由の1つです。
>>定盤の平面度校正・メンテナンスを実施するアフターフォロー体制
当社が製作した定盤をご紹介します。
レイアウトマシン用の基準溝が必要とのご要望をいただいたため、キー溝とタップ穴加工を行いました。また、建屋の設計段階からご協力させていただき、スムーズに据付工事まで実施することができました。
製品の試験を行うための定盤として、高剛性で平面度も担保できる定盤のご要望をいただきました。当社では設計段階での荷重条件等の構造解析を行いますし、独自のボックス型構造を採用し剛性も担保している定盤という点でご評価いただきました。
既設の大型定盤の水平度・レベル出し、定期的に実施していますか?
鋳物定盤カスタムナビを運営する大和重工株式会社は、レベル調整による校正からメンテナンスまでワンストップ対応の定盤 校正メンテナンスサービスを提供しております。
当社では「定盤の命は平面度」を合言葉に、既設定盤の定期的な診断・校正を実施しております。定盤は基準平面となるため、トレーサビリティは必要不可欠です。「お客様に長く当社の大型精密定盤を使い続けてもらいたい」という思いから、定期的なメンテナンスを行い、定盤据付時の精度を維持してお使いいただけるよう、安心のアフターフォロー体制を構築しております。
他社製の定盤、特に埋め込み定盤の場合、床下の定盤構造が正確にわからないというケースも多々ございます。しかし当社では、これまでの定盤の製作・施工実績やお客様へのヒアリングを元に、定盤構造・レベル調整機構を予測した上で校正を行ったり、平面度改善プランのご提案も行っております。
定盤の校正メンテナンス後には、完成報告書をご提出いたします。報告書には定盤メンテナンス前の状況(校正前の平面度測定値など)から、⼿⼊れ箇所の写真、校正後の平⾯度記録を記載しております。また、定盤の校正メンテナンスに使用する電子水準器の校正証明書も添付しております。あまり目が向かない定盤ですが、定期的に校正メンテナンスを実施することで、基準平面を維持することが可能です。
【定盤って、何だ?】
研究開発や組立、検査時に活躍する『定盤(じょうばん)』ご存知ですか?
主に「製品・装置の固定」や「絶対平面の確保」を目的に使われます。
今回配布する技術資料『定盤って、何だ?』では、定盤の基礎知識から選び方、実際の活用例まで豊富な写真で丁寧に解説いたします。
定盤の製作なら、3m×8mまで一体型での鋳物定盤の設計製作・施工まで一貫対応が可能。ご相談・ご用命は鋳物定盤カスタムナビにお任せください。