定盤の基礎知識
2024.09.11
鋳物定盤は精密な測定や加工の基準面として使用されるため、高い平面度が求められます。定盤が平坦でないと、測定結果や加工精度に誤差が生じ、製品の品質や性能に悪影響を与える可能性があります。そして、鋳物定盤の平面度を担保するには、高精度水準器で正確に平面度を測定し、必要に応じて調整することが重要です。
今回はそんな高精度水準器の概要と、弊社で使用しているデジタル水準器の仕組み、そのポイントについて解説いたします!
高精度水準器は、非常に正確なレベル測定を行うための機器であり、微小な傾きや高さの差を検出することができます。建築現場や製造業において、設備や部品の平行・垂直の確認に広く使用されており、特に高精度が求められる場面では、測定誤差を最小限に抑えるために必要不可欠な装置です。
鋳物定盤は精密測定や加工の基準面として使用されるため、その据付けは非常に重要な工程です。据付け時に定盤が水平でない場合、測定や加工の精度に大きな影響を与え、製品の品質や性能に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、定盤の設置には慎重な作業が求められます。
そのため、鋳物定盤の据付けにおいて、高精度水準器は欠かせない計測器です。高精度水準器を使用することで、水平面や垂直面の測定を高精度で行い、定盤の設置面が正確に水平であることを確認します。これにより、定盤が理想的な水平状態で設置され、その後の測定や加工の精度が保たれることが保証されます。
鋳物定盤の据付けには、主にデジタル水準器とアナログ水準器が使用されます。デジタル水準器は、数値をデジタルディスプレイに表示し、微小な傾斜も正確に読み取ることが可能です。一方、アナログ水準器は伝統的な水泡式で視覚的に水平度を確認でき、操作が簡単です。どちらのタイプも、それぞれの特徴に応じて使用され、高精度な測定が可能です。
今回は弊社で使用している高精度デジタル水準器を紹介いたします。
振り子型電子水準器は傾斜角に応じて得られる振り子の微小変位を、電気信号として取り出すことで傾斜の表⽰をデジタルで⾏うものです。
水平⾯に対して角度θの斜⾯がある場合、測定した傾斜をスイッチの切り替えにより、mm/mとDEG(° )の⼆通りの表⽰が可能です。
上図のようにおもりを糸で結び付けた板があります。
水平面に対して角度θの斜⾯があるとき、その斜面上に板を設置すると、斜面から垂直に伸ばした線から板のA側へ角度θだけおもりが傾きます。
そこで、板を180°ひっくり返した場合、斜面から直角に伸ばした線から、板のB側へ角度θだけおもりが傾きます。
絶対的な基準(斜⾯から直角に伸ばした線)が無くても、180°ひっくり返すことで板は2×θの角度は検知出来ます。つまり、2×θを半分にすることによりθがわかりますので、水平⾯もわかります。
このθの表⽰をゼロに調整することで、その⾯は水平になります。
上記の水平基準の考え方に基づき、平⾯度測定ごとに⾼精度水準器のゼロ点セットを⾏います。
①⾼精度水準器を平⾯の上に置きます。
②表⽰が安定したら0コールボタンを押し、表⽰をゼロにします。
③⾼精度水準器を180°回し、同じ場所に置き直します。
④表⽰が安定したら1/2コールボタンを押して表⽰を半分にします。
⑤⾼精度水準器を更に180°回し、同じ場所に置き直します。
⇒この時、④の表示と+と-が反対で同じ数値(絶対値が等しい)になっていることを確認します
⾼精度水準器はゼロ点を持っていない為、電源を⼊れて測定を⾏う度にこのゼロ点セットを⾏う事で、常に正確な水平基準での平⾯度測定が可能となります。
定盤の縦(L)×横(W)の寸法を考慮し、任意で測定ピッチを決定し、必要に応じてストレートヘッジを使用し平面度の測定を行います。
例:︓5000×3000サイズの定盤の場合
縦方向 1000ピッチで5分割
横方向 1000ピッチで3分割
5000×3000サイズ定盤の平⾯度測定表
測定位置図
5000×3000サイズ定盤の平⾯度測定結果の計算後の平⾯度分布状況
測定表を専用ソフトにて計算し、実際の平面度結果を算出します。
また、その際の実際の平面度分布図も合わせて測定結果としてお客様へ提出いたします。
鋳物定盤カスタムナビを運営する大和重工株式会社には、定盤の製作実績が多数ございます。
大和重工の定盤「Daiwa定盤」には、上記写真のようにCAEを使用した構造解析を実施しております。定盤の耐荷重は、剛性と支持点の数によって決まります。積載する機械や装置の最大荷重に基づき、変形が許容値以下となるように設計いたします。必要に応じて、CAEによる構造解析を行い、変形状態を詳細にシミュレーションすることも可能です。
定盤平面度の精度は、機械加工を行った時点と据え付け後では異なります。
「Daiwa定盤」は、据え付け後で平面度の保証を行えるように、事前打合せを十分に行い、搬入方法、基礎への固定方法、レベル調整方法などを決めさせて頂き、据付作業も責任を持って請け負います。
一見すると困難に思えますが、定盤据付時の精度を維持して使い続ける事も、「Daiwa定盤」なら可能です。
「Daiwa定盤」には精度を維持し続けるために必要な機構が備わっています。定期的にメンテナンスを行うことで、据付時の精度を維持できますので、定期メンテナンスも安心してお任せください。
当社が製作した定盤をご紹介します。
レイアウトマシン用の基準溝が必要とのご要望をいただいたため、キー溝とタップ穴加工を行いました。また、建屋の設計段階からご協力させていただき、スムーズに据付工事まで実施することができました。
製品の試験を行うための定盤として、高剛性で平面度も担保できる定盤のご要望をいただきました。当社では設計段階での荷重条件等の構造解析を行いますし、独自のボックス型構造を採用し剛性も担保している定盤という点でご評価いただきました。
定盤の製作なら、3m×8mまで一体型での鋳物定盤の設計製作・施工まで一貫対応が可能。ご相談・ご用命は鋳物定盤カスタムナビにお任せください。