定盤の基礎知識
2025.01.21
組立用定盤とは、機械部品や装置などを組み立てる際に基準面として使用される、高精度な作業平面台のことです。高い平面度、平行度、直角度を持つ組立用定盤は、精密な組立作業や測定作業に欠かせない存在です。
本記事では、組立用定盤の基礎知識から、大型組立用定盤の設計・製造のポイント、そして大和重工の組立用定盤の特徴まで詳しく解説していきます。
定盤は、一般的には機械装置の加工/組立/検査/実験などを行うための基準平面(水平面)として用いられます。
定盤の平面は「機械加工」「きさげ」等により、必要な精度に仕上げられています。表面は、機械や装置を固定するために、T溝加工やタップ穴加工が行われることが多く、測定のための基準線や基準溝を加工することも可能です。
また、必要となる平面精度を保証するために、剛性が高い材質が用いられ、その構造もリブ構造や箱型形状が多用されます。また、経年変化による平面度変化を校正するために、レベル調整機構が組み込まれている場合が多いです。
近年、その用途は自動車やエンジン等の振動実験、音響計測など多様化しており、防振機能など多様な機能が求められるようになってきております。
主な定盤の材質は、
という3種類があります。
また定盤は、設置方式の違いにより、
という2つに分けることができます。
組立用定盤とは、機械部品や装置などを組み立てる際に、基準面として使用される精密な作業台・平面のことです。平面度、平行度、直角度などの精度が非常に高くなりますが、組立用定盤によって安定した作業環境を整備することで、高精度な組立作業を実現することができます。
組立用定盤は、その高い精度から、様々な産業分野で幅広く活用されています。主な用途としては、以下のようなものがあります。
工作機械、産業用ロボット、自動車部品、航空機部品など、様々な機械や装置の組立に利用されています。特に、高精度が求められる精密機械や大型装置、大型エンジンの組立には欠かせない存在です。組立用定盤上で行うことで、部品の位置決めや固定が正確に行うことができ、組立精度を向上させることができます。また、定盤上のT溝やネジ穴により製品を固定することで、安定した組立作業や試運転を行うことができます。
大型構造物や製缶板金部品の溶接作業にも、組立用定盤が使用されます。高精度な組立用定盤上で溶接を行うことで、歪みや変形を抑制し、高品質な溶接を実現することができます。
ただし溶接で使用する組立定盤の場合は、アーク溶接の放電性や、表面の割れやすさ等も考慮して材料選定する必要があります。
上記以外にも、大型治具の製作や、大型プレス金型の組立、マーキング作業など、様々な用途で組立用定盤は活用されています。
大型組立用定盤は、精密な組立作業や測定作業を支える重要な設備です。そんな大型組立用定盤を設計・製造するには、下記のような点に注意する必要があります。
大型組立用定盤は、大型のワークや装置を支える必要があるため、高い剛性が求められます。変形やたわみが発生すると、組立精度や測定精度に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、十分な剛性を確保できるよう、材質、構造、リブの配置などを最適化する必要があります。
大型組立用定盤は、基準面として使用されるため、高い平面度が求められます。平面度が低いと、組立作業や測定作業に誤差が生じる可能性があります。大和重工では、独自の加工技術と検査体制により、高精度な平面度を実現しています。特に当社では、JIS2級(JIS B 7513-1992)相当の平面度を保証する大型組立用定盤を設計から製作まで行っております。定盤内には複数のジャッキを配置して、据付後も必要に応じて精度調整が可能な構造としています。
大型組立定盤は、長期間にわたって使用されることが想定されます。そのため、メンテナンス性を考慮した設計・製造が重要です。定期的な点検や清掃、部品交換などが容易に行えるよう、構造や材質を工夫する必要があります。
大和重工では、これらのポイントを考慮し、顧客のニーズに合わせた大型組立定盤を設計・製造しています。
大和重工は、長年の経験と実績に基づき、高品質な組立定盤を提供することで、様々な業界のお客様から高い評価を頂いております。ここでは、大和重工の組立定盤の特徴をご紹介します。
当社では、最大長さ15mの定盤など、大型で高精度の組立定盤の製作実績が豊富にあります。お客様のニーズに合わせて、最適な材質、構造、加工方法を提案することができます。数mクラスの大型定盤になると対応可能なメーカーも少なくなるため、全国各地から当社に大型組立用定盤についてお問い合わせをいただいております。また、工場新設段階からの図面協力など、トータルサポート体制も強みです。
大和重工の組立用定盤は、自動車メーカーや自動車部品メーカー、建設機械・農業機械メーカー、各種研究機関など、幅広い業界に導入されています。
大和重工では、高精度な平面度を実現する定盤設計に力を入れています。定盤の平面度は、組立精度や測定精度に直接影響を与えるため、非常に重要な要素です。当社では長年の経験とノウハウに基づき、お客様のニーズに合わせて最適かつ理想的な平面を確保できるよう、定盤の材質、構造、寸法などを厳密に設計しています。
また、実際に組立用定盤を設置する際に、たとえどれほど定盤自体が平面度が高かったとしても、設置精度が悪ければ平面度を保証することはできません。そのため、高精度水準器等を用いて設置時に理想平面が出ているかどうかを確認する必要があります。
>>大型機械・装置のレベル出し・水平調整を実現する“理想平面”へのこだわり
>>解析技術を駆使して剛性・荷重を最適化する定盤設計ノウハウ
>>高精度水準器とは?高精度デジタル水準器の仕組みとポイントを解説!
大和重工は、作業現場やお客様のニーズに応じて大型組立用定盤をカスタマイズします。例えば、T溝加工、Tスロナット挿入口、レベル調整機構など、様々なオプションに対応しています。もちろん納期やコスト面についても、顧客の要望に合わせて柔軟に対応しています。
また工場レイアウトに応じて、L型、T型、H型などの複雑な設置構成にも対応できる柔軟な設計が可能です。大型の作業場や特殊な組立ロボット配置にも対応し、作業効率や検査精度を最大限に引き出すためのレイアウト調整が行われます。
>>大型定盤の設計・鋳造・加工・据付まで”ワンストップ対応”
>>3m×8mまで一体型での製作が可能、または防振機能が付いた特注定盤の製造
大手メーカーの方々が工場を新設される際には、必ずゼネコンの方々も関係します。そしてゼネコンの方々が建屋の詳細設計をされる際に、定盤の基礎図が必須となってきます。しかしその段階で定盤メーカーが図面に協力するためには、工場への定盤の搬入ルートや基礎工事の方法等を考慮した上で設計する必要があり、積算金額の算出ができず対応可能な定盤メーカーが少ないのが実情です。
一方で当サイトを運営する大和重工では、図面協力段階からの定盤設計にも対応しております。これまでに数多くの大型定盤の据付工程まで対応した実績・現場経験ががあるため、搬入ルートの検討や施工要領を含めた図面協力をすることができます。建屋ができる前にCAD設計まで行い、ゼネコンの方々が工場新設時に積算する際にも、積極的な協力をさせていただいております。
そのため当社は、エンドユーザーの皆さまだけではなく、大手ゼネコンの皆さまからも定盤メーカーとして選ばれ続けております。定盤にそこまでこだわりがない場合は、エンドユーザーの皆さまはゼネコンの方々に定盤の見積りを出されます。その際にゼネコンの方々が定盤製造を依頼する先として、予算や積算の考え方を理解しており、図面協力することができる大和重工が選ばれております。
鋳物定盤カスタムナビを運営する大和重工株式会社には、定盤の製作実績が多数ございます。
大和重工の定盤「Daiwa定盤」には、上記写真のようにCAEを使用した構造解析を実施しております。定盤の耐荷重は、剛性と支持点の数によって決まります。積載する機械や装置の最大荷重に基づき、変形が許容値以下となるように設計いたします。必要に応じて、CAEによる構造解析を行い、変形状態を詳細にシミュレーションすることも可能です。
定盤平面度の精度は、機械加工を行った時点と据え付け後では異なります。
「Daiwa定盤」は、据え付け後で平面度の保証を行えるように、事前打合せを十分に行い、搬入方法、基礎への固定方法、レベル調整方法などを決めさせて頂き、据付作業も責任を持って請け負います。
多くの定盤メーカーは、設計・製造・据付までの対応となり、設置後のアフターフォローはサービスに含まれていないことがほとんどです。しかし大型定盤においては、設置後の理想平面の維持が最も重要です。
定盤を使い続けると、どうしても平面度も設置した当初の平面度から変化をしてしまいます。そのため、設置した後にメンテナンスできるように、平面度を調整することができる機構があるかどうかというのは、定盤を長く使い続けていくうえで重要な要素の1つと言えます。
当サイトを運営する大和重工では、ジャッキ機構のような、設置後に理想平面を維持できる機構を採用することで、メンテナンス性も良い定盤の設計提案をしております。
そして当社では、他社ではあまり行われていない定盤の校正・メンテナンスもサービスとして含めてご提案しております。このアフターフォロー体制が、当社が数多くのお客様から選ばれている理由の1つです。
>>定盤の平面度校正・メンテナンスを実施するアフターフォロー体制
続いて、実際に大和重工で製作から据付対応まで行った、組立用定盤の事例・実績をご紹介いたします。
大型製缶品の溶接組立用定盤としてご依頼をいただきました。お客様とお打合せを重ねる中で、希望納期に納入可能であることをご希望でしたので、当社としても納期面でご協力をさせていただきました。
ご希望納期に合わせること以外にもT溝加工を行い、定盤納入後は検査定盤として問題なくご使用いただけており、お客様にもご満足いただいております。
お客様の新工場立ち上げに伴い、製品の組立・検査等を行う高剛性の定盤としてご依頼いただきました。また、建屋設計段階からご協力をさせていただき、図面協力も行わせていただきました。ポイントとして、T溝加工に加え上面からレベル調整が可能な機構を追加した点が挙げられます。
設計事務所様から定盤のお問合せをいただき、建屋の設計段階における定盤の仕様決定から参画させていただきました。設計段階から参画できたことにより、その後のゼネコン様からのお問い合わせ対応もスムーズに行うことができました。
ポイントとして、レール定盤と架台部分の一体加工を行ったことにより剛性を担保しつつ、ご要望の平面度を達成できた点が挙げられます。
定盤敷設面積が広大であるため、製品固定部分のみ定盤が欲しいとのご相談をいただきました。レール定盤は基礎部に設置しモルタル等で埋め戻す対応が必要なため、建屋設計段階からご協力をさせていただきました。
ポイントとして、建屋設計段階から参画し、建屋図面に定盤仕様が反映できた点が挙げられます。結果として、据付工事に至るまでスムーズに実施することが可能となりました。
最大60tの製品を製缶作業、組立、検査を行う長さ15mの定盤のご相談を頂きました。
ポイントとして、7mと8mの長さの定盤を組合せて定盤分割面を減らして、経年変化に強い定盤をご提案させていただき、お客様のご要望にお応えすることができました。
定盤敷設面積が広大となるため、製品固定部分のみ定盤が欲しいとのご相談をいただきました。レール定盤は、基礎部に設置後にモルタル等で埋め戻す対応が必要なため、ゼネコン様と設計段階からお打合せをさせていただきました。
ポイントとして、定盤のT溝部分を無垢材で製作できた点が挙げられます。本来であれば加工が必要となるT溝部分ですが、当社のレール定盤のT溝は一定の呼び寸法までは無垢材での製作が可能でコストを抑えることが可能です。
3m×8mまで一体型で鋳物定盤の設計製作・施工まで一貫対応いたします。ご相談・ご用命は鋳物定盤カスタムナビにお任せください。